戦争を恐れるあまり株を買うことまで怖がってはならない。
 株式投資は想像力のある人々を引き付けてやみません。また、同時に、われわれ現代人の意識は、20世紀の戦争がもつ苛烈さを思い起こすたびに、激しく動揺してしまいます。それゆえ、世界の何処かで国際的な緊張が生まれ、それが戦争の恐れや実際の戦争を生み出すたびに、その影響は株式市場にも波及することになります。これは経済的にはほとんど意味のない心理的な現象です。

 特に今日の原子力時代には、それに加えて、合衆国の市民ひとりひとりの生命にさえ危険が及んでいるとひしひしと感じているのです。この先何が起こるのかという不安や恐怖やいらだちが、純然たる経済的要因によってなされるはずの評価を、しばしば大きく狂わせてしまいます。つまり財産がほとんど灰になってしまうのではないかという恐怖感や、財産を吸収されるに等しいような高額の税金を課されることや民間の活動に対して政府が干渉を始めるのではないかといったことを恐れる気持ちが、我々自身の資産運用への意識を支配してしまうのです。このような心理状態で投資をしていると、戦争が経済に及ぼす影響のうち上に挙げたようなことよりもいっそう根本的な要因をつい見逃してしまいます。

 戦争のたびに株式市場に起こったことは、これまでいつも同じでした。。20世紀を通じて、唯一の例外を除いて、世界の何処かで大きな戦争が起こるたびに、あるいはアメリカ軍がどこかの戦争に参加するたびに、アメリカの株式市場は必ず暴落を起こすのです。唯一の例外が1939年の9月に第二次世界大戦が勃発したときでした。しかしそのときも、中立国との軍需契約が膨れ上がっていたことを材料視して一時的な高騰が起こっただけで、その後の市場はいつもどおりに下落の道を辿り、数ヶ月後にドイツが各地で勝利を重ねつつあるというニュースが入ると、とたんにパニックとでもいうべき様相を呈するようになりました。しかしながら、戦争が終わったあとは、第一次世界大戦でも第二次世界大戦でも、さらには朝鮮戦争でも同じことが起こったのですが、大抵の株は急騰し、戦争の気配のなかった時と比べても格段に高い株価で取引されるようになるのです。さらに言うと過去22年のあいだに大きな戦争の引き金ともなり得る国際危機が少なくとも10回は発生しておりますが、いずれの場合も戦争の恐怖から暴落が起こったあとに、危機が去ると市場は急反発を見せています。

 戦争が終われば株は下がるどころか常に戦争前よりも遥かに高くなると言う事実があるにも抱わらず、投資家はなぜ戦争の影が近づいたり戦争になったりするとたん株を投げ捨ててしまうのでしょうか。彼らは何か大切なことを見逃しているのです。株価というのは貨幣の価値によって表されます。近代戦争というのは、政府に対して常に税収を遥かに超えた支出を要求します。それゆえ、通貨の供給量が増大し、貨幣の価値は戦前よりも下落する結果となります。こうなると、同じ株数を買うのに以前よりもたくさんのドルが必要となります。つまり、典型的なインフレーションが起こるのです。

 言い換えると、戦争は常に通貨の価値を下げる働きをするのです。したがって、戦争が起こりそうな時や戦争が実際に始まったときに株を売って現金に換えようとするのは、理論的には極めて愚かなことなのです。

 戦争では、特に近代戦争では敗戦国の通貨は完全にあるいはほとんど価値を失ってしまうことが多く、株式もまた、その価値の大半を失ってしまいます。もしも仮にアメリカ合衆国がソビエト連邦に破れたとしたら、我が国の通貨や株は紙切れ同然になってしまうでしょう。そのような場合には、投資家が何をしようとも、結末は同じく悲惨なものでしかありません。

 それに対して。戦争に勝った場合や、痛み分けに終わった場合、株の実質価格がどうなるかは、戦争によって、またそれぞれの株によって、様々に違ってきます。第一次世界大戦では、イギリスとフランスが戦前に蓄えていた膨大な富がアメリカ合衆国に流れ込んだ結果、大半のアメリカ企業の株は戦争のおかげで価値を上げることになりました。しかしその後の戦争では、これと同じことは二度と起こっておりません。第二次世界大戦と朝鮮戦争では、安定したドルにより表示されたアメリカ企業の株式の価値は、つまり株の実質的価値は戦争によって低下してしまいました。異常な重税は別にしても、利益率の高い平和時の製品ではなくて、極めて利益率の低い軍需品を製造することにあまりに多くの生産力をとられてしまったのです。もちろん、アメリカが共産主義圏になっていたら、投資利益を得ることはそもそも不可能になるのですが、それにしても、この利益の上がらない軍需品の開発費用に費やされた膨大な労力を平和時の通常の製品開発に投入していたら、株主の利益は途方もなく大きなものになって居たでしょう。ともあれ、戦争が起きたときや戦争の恐れのあるときに株を買う理由は、戦争それ自体がアメリカの株主に再び利益をもたらす可能性が高いからでは無く、貨幣の価値が大きく下がるにつれて、通貨によって表示される株の価格は必ず上昇するからです。


フィッシャーの超成長株より
フォレスト出版
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1.
その企業は少なくとも5-6年の間、企業全体の売上を大きく伸ばすに十分な市場が見込める製品またはサービスを有しているか
2.
その企業の経営者は、現在の人気製品が市場を開拓しつくそうとする時点で、その後も全体の企業売上を伸ばしていけるように、新製品や新製法を開発していこうという決意を持っているだろうか。
3.
研究開発の規模と比較して、どれだけの成果が表れているか。
4.
その企業の営業部門は平均以上の力を持っているか。
5.
その企業は、投資に値するだけの利益率を確保しているか。
6.
その企業は利益を維持し、改善する為に何をしているか。
7.
その企業は良好な労使関係を築いているか。
8.
その企業は管理職の能力を引き出す様な環境を作っているか。
9.
その企業は管理職レベルの優秀な人材が豊富にいるだろうか。
10.
その企業は、しっかりとしたコスト分析と財務管理を行っているか。
11.
その企業は、他社との競争を勝ち抜くために企業運営の面で必要な業界特有のスキルを十分に備えているか。
12.
その企業は収益に関して長期的な展望を持っているか。
13.
近々その企業は成長のために増資をする必要がないかどうか。その増資に伴う株数の増加によって現在の株主の利益を大きく損なう恐れはないだろうか。
14.
その企業の経営者は事業が順調なときには投資家に気軽に口を開くのに、困難な状況に陥ったり市場の期待を裏切るような出来事が起こったりすると、貝のように口を閉ざしたりしないだろうか。
15.
その企業の経営者は本当に誠実だろうか。

フィッシャーの超成長株より
フォレスト出版

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入札戦争が勃発したときは、負けるが勝ちである


 入札戦争が勃発すると、価格はどんどん競り上がっていく。そして、入札者同士が一歩も引かなければ、予想される投資収益率はどんどん下がっていく。価格が上がれば上がるほど、良い取引ではなくなっていき、ある一線を越えると、悪い取引になってしまうわけだ。
 入札戦争を戦ううえで問題なのは、相手に負けたくないという気持ちが合理的な思考を押しのけること。やたら大きなエゴを持つ経営者は、株主の金を使って、信じられないような高値でビジネスを落札する。自分の懐が痛まない時は、人は割に合わない買い物をしやすくなる。しかし古今東西、割に合わない買い物をして金持ちになったという話は聞いたためしがない。

 高値でつかまされたら負けという理屈は、小売りの世界にも当てはまる。競合相手よりも安く商品を仕入れてくれば、競合相手よりも低価格で消費者に商品を提供し、利ザヤを確保しながら競合相手を駆逐することができるのだ。

 これこそがネブラスカファニチャーマートのビジネスモデルである。ネブラスカファニチャーマートはときには工場の一か月分の生産品を一括購入するなど現金で仕入れを行うため、掛買いで仕入れるライバル店とは比較にならないくらい好条件を取引相手から引き出せるのだ。
 結果としてライバル店よりも安い小売価格を設定でき、高い利ザヤを維持しつつ、ライバル店よりも多くの消費者を引き付けられるわけだ。ネブラスカファニチャーマートが安く売って大きく儲けられるのは、仕入れの際に少なく払うからである。特に小売りの世界では、売値よりも仕入れ値の方が重要となる場合が多い。

ウォーレンバフェットの教訓 The TAO of Warren Buffett より

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